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このサイトについて
  • このサイトは、遠藤熊吉(1874〜1952)によって始められ、西成瀬小学校(2002年3月閉校)において継承されてきた話しことば教育の実態と成果を検証するために行われた「増田町ことば調査2005」(研究代表者:北条常久・秋田市立中央図書館明徳館館長)の成果報告のページです。調査事業の詳細は、「プロジェクトの経緯」をご覧ください。
  • このサイトは、西成瀬地域センターが製作し、運営しています。このサイトの著作権は西成瀬地域センターに帰属します。無断転載はご遠慮ください。
  • このサイトの管理は、日高水穂(秋田大学教育文化学部)が行っています。相互リンクなどのお問い合わせは、日高までお寄せください。
  • 編著者名が記載されている記事の内容については、当該の編著者が責任を負います。論文等で引用する場合は、編著者名と記事のタイトル及びサイトのURLを明記してください。
遠藤熊吉と西成瀬に関するQ&A
 
Q1遠藤熊吉とは、どのような人ですか。
A1 秋田県旧西成瀬村に生まれ、明治から昭和にかけての約60年間にわたり、この地域の標準語教育に取り組んだ人です。詳しくは「ことば先生 遠藤熊吉翁」をご覧ください。
Q2西成瀬とは、どのような地域ですか。
A2 秋田県南内陸部に位置する地域です。遠藤熊吉を生み、その教育実践の場となった西成瀬小学校で知られています。西成瀬小学校は2002年3月に児童数の減少により閉校しましたが、その校舎は現在、西成瀬地域センターとして地域住民の活動の拠点となっています。詳しくは「「標準語村」西成瀬」をご覧ください。
Q3 遠藤熊吉の標準語教育とは、どのようなものだったのですか。また、どのような成果を上げたのですか。
A3 ポケットから小石を取り出し、子どもたちに「これは何ですか」と問い、「イシ」の発音をさせる(この地域の方言では「イ」と「エ」、「シ」と「ス」が混同されやすい)といった、実際の言語使用の場にそった指導を行いました。その結果、西成瀬村は「標準語村」とも呼ばれるようになり、西成瀬小学校は国語教育の世界でもよく知られる存在となりました。詳しくは、「標準語村の生成と展開」および「インタビュー」をご覧ください。
Q4遠藤熊吉の教育が西成瀬で成果を上げたのはなぜですか。
A4 遠藤熊吉の指導が実を結んだのは、この地域に吉乃鉱山という全国から人々が集まる場があったことも一因と考えられます。詳しくは「標準語村の生成と展開」をご覧ください。
Q5遠藤熊吉の標準語教育は、いわゆる「方言撲滅教育」とは違うのですか。
A5 遠藤熊吉は、その著書『言語教育の理論及び実際』のなかで、次のように述べています。

 凡そ吾々の言語生活は与へられた言語から始まる。郷土語に対する愛着は熾烈なものである。魅惑であり、幻惑でさへある。けれ共言語による郷土愛は、郷土語の受用、愛用に尽きるものではない。寧ろ伝襲せる郷土語を純化し、豊富ならしめ、之を次代に遺すことこそ真に郷土を愛する所以であらう。吾々の郷土愛は、単に郷土に執する事にあるのではなく、伝統に立脚しつゝ、進取、更生を期する改善にこそ、真生命があると言ふべきであらう。(PDF版『言語教育の理論及び実際』p.12)

 言語の二重、三重の生活は、決して喜ぶべき事ではない。けれ共方言生活の存つ幻惑は、直ちに標準語を以て代へ得ないかの如くに見える程強いものである。此の意味に於て、標準語を晴着にたとへ、方言を以て不断着に比べる事も首肯されよう。けれ共不断着の持つ親しみの故に放任し、方便の故に標準語を習得することは当を得たものとは言はれない。方言生活を営む吾々にとっては、勿論共通語を一挙に習得することは出来ない。一方に方言生活を営むと共に、一方標準語の生活に親しまねばならない。而して標準語の弘通も、徐々に、しかも具案的に進めねばならない。先にしばしば述べた様に、単に標準語が方言を駆逐し去るとのみ見なすべきではない。又現に行はれて居る方言を抹殺し去る事でもない。方言の矯正とは、畢竟方言を浄化して、標準語に接近せしめ、以て方言を標準語の水準に迄高めると共に、国語そのものの高度の統一、純化及び発展を図る為の過渡的な、しかも最も緊密にして困難な国家的、社会的大事業である事を意味する。(PDF版『言語教育の理論及び実際』p.19)

 遠藤熊吉にとって、標準語とは日常の生活語である方言を醇化させることによって獲得されるものでした。理想の言語である標準語はあくまでも日常語(方言)の延長にあるもので、遠藤は両者を互いに排除し合うものだとは考えていなかったようです。遠藤の教え子たちもそろって、方言を否定する教育ではなかったと証言しています。詳しくは、「PDF版『言語教育の理論及び実際』」および「インタビュー」をご覧ください。
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遠藤熊吉著『言語教育の理論及び実際』PDF版[870KB]
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我校言語教育(昭和九・ニ)
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 西成瀬地域センター
  〒019-0711
  秋田県横手市増田町荻袋字真当72番地
  TEL.0182-45-2657/FAX.0182-45-4092

 秋田大学教育文化学部 日高水穂
  hidaka@gipc.akita-u.ac.jp